設立趣旨

 これまで精神障害の人達に対する福祉は、身体障害や知的障害の人達と比べて立ち遅れた歴史を歩んできました。1950年に施行された精神衛生法では精神障害の人達への医療や保護については言及されていますが、福祉については全く触れられていませんでした。それが1987年の精神保健法によって初めて「保健」「社会復帰」「人権擁護」について言及されるようになり、1993年の「障害者基本法」によって「障害者」に「知的障害」「身体障害」に加えて「精神障害」が加わり、1995年施行の精神保健福祉法で初めて「精神障害者」への「社会復帰」「リハビリテーション」など福祉の面が明文化されました。しかし一方、2003年開始された「支援費制度」では、障害のある人達の意志による福祉サービスの選択「契約」が可能となりましたが、やはり「精神障害者」には適用されませんでした。
2006年4月「障害者自立支援法」が施行され、「精神障害」の人達も「知的障害」「身体障害」と同じように福祉サービスが受けられるという画期的なものとしてスタートしました。しかしこの法律は医療や福祉サービスを受ける際の自己負担や障害程度区分判定の問題などがあり、地域の障害者を支えるシステムの変更を余儀なくされるものであったりと、問題が山積する法であり、改変が待たれるところです。
 精神医療面では、抗精神薬の開発、法律の変遷などもあり、入院中心の治療から地域で通院しながら治療する方向に変わりつつあります。しかし、病状は安定しているのに帰るところがない「社会的入院」を余儀なくされている精神障害者が今なお数万人存在しています。また、地域において、「精神障害者は何をするかわからないこわい人」という偏見はまだ続いており、精神障害者の社会復帰や地域での生活を困難にしています。
障害者基本法からも明らかなように、精神障害の人達への福祉に対する努力は続けられ、ノーマライゼーションも普及して、「精神障害の人達が地域で普通に暮らしていく」ことを目指すのも当たり前に受け止められるようになってきましたが、他の障害に比べ、独自の問題を抱えて立ち遅れていることも事実です。
地域保健法・障害者自立支援法などにより行政の組織の改編などが行われ、精神障害の人達や家族が地域で相談をする機関が出来たことは喜ばしいことですが、現実には十分に利用できるものとなっていません。
2000年発足の成年後見制度は、高齢者や障害者の権利擁護という観点から大変重要なものと考えられます。一方、高齢者や障害者・子供への虐待が増加し、「人権」「心」の問題も恒常化してきています。このような社会的背景の中にあって、私たちは主として精神障害者を対象に、「心」「人権擁護」「成年後見制度の利用」などに関する相談事業を行うことによって、精神障害の人達の福祉と人権に寄与し、住みやすい地域づくりに貢献することを目指し、特定非営利活動法人権利擁護・神戸心の相談センターを設立します。